門脇篤個展
ふたつの場所を
毛糸で結ぶ
〜絵画・立体・パフォーマンス〜
Solo Exhibition of Atsushi Kadowaki
"between two places with yarn"

中本誠司現代美術館展
2004/3/18thu-24wed

クレイ・アルファ展
2004/3/16tue-23tue

美術館に毛糸を結ぶ
outside of museum


中本誠司現代美術館。その建物は、基礎工事を除いて、故中本誠司氏が自身でつくりあげた建物である。白亜の城を思わせるそのデザインは、氏が世界各地を旅して回る中、制作や個展を行った地のひとつであるスペインからインスパイアされたものだろうか。3階建てで、中庭風の空間もある。
今回、この建物全域を使用する許可を得、昨年来さまざまな場所で行ってきた毛糸を結ぶ展示(こちら)を、ここでも行う機会に恵まれた。
これまで結んできた場所では、通常、展示期間が短く、毛糸を結ぶ作業自体も短時間で終わらせなくてはなかなかったが、ここでは1週間という会期にわたってすこしずつその作業を進めることができた。会期前半は晴天にも恵まれ、白い壁に光をいっぱいに吸い込んだ色とりどりの毛糸が美しかった。
毛糸は全部で6色(赤、青、白、黄、橙、緑)を用意した。6色は私の用意した6つの願いに対応している。また、うち4色(赤、黄、橙、青)は、この毛糸を展示するという作品のもととなった"SATOKO"から来ている。ところどころに、「毛糸をたどってください」「あなたの日常に毛糸を結んでください」「今日ひとつだけ、あなたの心に毛糸を結んでください」といったメッセージがはられ、毛糸をたどって行くと、3階まで達することができる。

 

光をふくんだ毛糸は、ときおり通る風に吹かれ、ふわふわとたゆたう。それは風の流れを視覚化するとともに、自然のリズムをあらわす「6線譜」でもある。いつか、空をながめながらグレゴリオ聖歌のCDを聴いていた妻が、「雲の流れと同じリズムだ」と言っていたのを思い出す。グレゴリオ聖歌にはリズム指定がない。同じように、流れる風にも時計などない(もちろん、ここで私は時間をはかるのが悪いことだなどと言っているのではなく)。

 

 

2階屋上はかなり広いスペースになっている。この毛糸の中に入って行くと、色の流れに分け入ったような気分になる。訪れた子どものひとりが、「虹みたい!」と言いながら毛糸をくぐって遊んでいた。するとそれは、虹の中で遊んでいることになるわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だんだんと毛糸に覆われてゆく美術館。美術館の前の通りを行く人々が目をとめる。思わず声をあげる人。徐行しながら進む車。そして立ち寄って行くようになった小学生だち。
たとえば、「美術」に詳しい人にとっては、これを「どこかで見たことがある展示」という風に比較対象することで「それ」と指し示したくなるかもしれない。しかしそうした言葉自体に何の意味もこめずに語ることができないことは、その同じ言葉でもってこの展示に息を吹きこむことも、命を奪うこともできることからも明らかだろう。
最終日、美術館の大内館長は、建物を包むという行為自体はすでに先人の行ってきたことであるものの、毛糸という素材でもってそれを行うことには、今この時代には、ある種の意味があると評してくださった。この毛糸の「出生」についてはすでに説明済みだったのだが、館長さんはそんな「物語」によることなく、これを見、生かすことができる。まったく見事だというほかはない。

 

 

 

 

3階からは、住宅地が一望できる。

 

椅子をところどころに置いてみることにした。

 

 

 

やがて暮れゆく一日。

 

 

 

 

 

 

 

 

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展示までに考えたこと

門脇篤 in 中本誠司現代美術館

つなぐこと 結ぶこと SATOKOプロジェクト

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